子どもの発達

赤ちゃんの首すわり・寝返りが遅い?発達の目安と家庭でできること

約7分執筆: 宮田 隼斗代表 / 理学療法士

「同じ月齢の子はもう寝返りしているのに、うちの子はまだ」。 「健診で『様子を見ましょう』と言われたけれど、様子を見るってどうすればいいの?」。 検索欄に「首すわり 遅い」と打ち込んだことのある保護者の方は、決して少なくありません。

この記事では、北海道釧路エリアで小児リハビリ・発達支援に携わる理学療法士が、 赤ちゃんの運動発達の目安と「個人差」の考え方、ご家庭でできる関わり方、 そして専門家への相談を考えたいサインについて、順番にお話しします。

運動発達の目安 — まず「幅」を知ることから

首すわり、寝返り、おすわり、はいはい、つかまり立ち、ひとり歩き。 赤ちゃんの運動発達には、おおまかな順番と時期の目安があります。 ただしこの「目安」は、多くの保護者の方が思っているよりずっと幅の広いものです。

発達の節目

だいたいの赤ちゃんができるようになる時期の目安

首すわり

生後4〜5か月頃まで

寝返り

生後6〜7か月頃まで

ひとりすわり

生後9〜10か月頃まで

はいはい

生後9〜10か月頃まで

つかまり立ち

生後11〜12か月頃まで

ひとり歩き

1歳3〜4か月頃まで

この表は、厚生労働省の乳幼児身体発育調査をもとにした 「およそ9割の赤ちゃんが通過する時期」の目安です。 言いかえると、10人にひとりの赤ちゃんは、この表よりも遅いペースで発達していくということです。 そして、その多くはその後、問題なく成長していきます。

「健診の月齢」は締め切りではありません

母子健康手帳や乳幼児健診で使われる月齢は、発達を確認するための「区切り」であって、 「この月齢までにできなければ異常」という締め切りではありません。 健診で「様子を見ましょう」と言われるのは、 この幅の中で成長している可能性が十分にあるからです。

「遅い=問題」ではない、と言える3つの理由

1. 発達のスピードには、その子のリズムがある

身長や体重に個人差があるように、運動発達の進み方にも大きな個人差があります。 慎重にじっくり進む子もいれば、ある日突然まとめてできるようになる子もいます。 「昨日までまったく寝返りする気配がなかったのに、今日いきなり成功した」という話は、 小児のリハビリの現場では珍しいことではありません。

2. 順番どおりに進まない子もいる

発達の順番も、全員が同じではありません。 はいはいをほとんどせずにつかまり立ちへ進む子や、 うつぶせを嫌がり、座ったままお尻で移動する「シャフリングベビー」と呼ばれるタイプの子もいます。 シャフリングベビーは歩き始めがゆっくりになる傾向がありますが、 多くはその後自然に歩けるようになることが知られています。

3. 早産のお子さまは「修正月齢」で考える

予定日より早く生まれたお子さまの場合、発達は実際の誕生日からの月齢ではなく、 出産予定日を基準にした「修正月齢」で考えるのが基本です。 たとえば2か月早く生まれたお子さまなら、生後6か月の時点での発達は 「修正月齢4か月」として見ます。実際の月齢で周りの子と比べてしまうと、 本来は順調な発達を「遅れている」と感じてしまいます。

一方で、気にかけてほしいサイン

「個人差の範囲であることが多い」とはいえ、なかには早めに専門的な評価を受けたほうがよいケースもあります。 次のようなサインがある場合は、個人差と決めつけずに一度相談してみることをおすすめします。

  • 動きや姿勢に、はっきりした左右差がある(片方の手ばかり使う、寝返りがいつも同じ方向だけ、など)
  • 反り返りがとても強く、抱っこがしづらいと感じる
  • 身体がとても硬い、あるいは、だらんと柔らかすぎる感じがする
  • 表の目安の幅を大きく超えても、次の段階に向かう兆し(できかけの動き)が見えない
  • 一度できるようになっていた動きを、しなくなった

これらのサインがあるからといって、必ずしも病気や障害があるという意味ではありません。 ただ、専門職が実際にお子さまの動きを見て評価する価値のあるサインです。 まずは乳幼児健診の場や、かかりつけの小児科で相談してみてください。

ご家庭でできる関わり方

発達は「訓練で早める」ものではなく、 赤ちゃんが自分から動きたくなる環境と関わりの中で育っていくものです。 ここでは、今日からご家庭でできる関わり方を4つご紹介します。

1. 起きている時間に「うつぶせ遊び」を

赤ちゃんが起きていて機嫌のよい時間に、大人が必ず見守りながら、 うつぶせで遊ぶ時間を少しずつつくってみましょう。 うつぶせは、首すわりや寝返りにつながる背中・首の力を育てる大切な姿勢です。 最初は数十秒でかまいません。嫌がる場合は、保護者の方の胸の上にうつぶせで乗せて、 顔を見合わせるところから始めると受け入れてくれやすくなります。

安全のために

うつぶせにするのは「起きている時間」に「見守りのもとで」が原則です。 眠るときは、窒息と乳幼児突然死症候群(SIDS)予防のため、あお向けで寝かせてください。

2. 向き癖には「楽しい方向」で工夫を

いつも同じ方向ばかり向いている「向き癖」は、頭の形のゆがみや、 左右の動きの偏りにつながることがあります。 向きにくい側から声をかける、おもちゃやメリーの位置を変える、 抱っこや授乳の向きを意識して変える、といった工夫で、 「向きたくなる理由」を反対側につくってあげましょう。 無理に頭を押さえて向きを変える必要はありません。

3. 床の上で自由に動ける時間をつくる

バウンサーやベビーチェアは育児の強い味方ですが、 座らせている時間が長くなると、赤ちゃんが自分の力で姿勢を変える経験は減ってしまいます。 安全なスペースにマットを敷いて、床の上で手足を自由に動かせる時間を意識的につくってあげてください。 赤ちゃんにとっては、床の上でバタバタと動くことそのものが立派な「運動」です。

4. 「できかけの動き」を遊びで応援する

寝返りしかけて戻ってしまう、手を伸ばしておもちゃを取ろうとしている——。 そんな「できかけの動き」が見えたら、応援のチャンスです。 おもちゃを少しだけ横に置いて身体をひねりたくなるようにする、 目線の高さで声をかけて顔を上げたくなるようにするなど、 赤ちゃんが「自分から動きたくなる」仕掛けを遊びの中につくってみてください。 そして、できた瞬間にはたくさん笑いかけてあげましょう。 その積み重ねが、次の動きへの意欲になります。

釧路エリアでの相談先

「気になるけれど、どこに相談すればいいのか分からない」という声を、釧路でもよくお聞きします。 選択肢を整理しておきます。

  • 乳幼児健診 — 発達を確認するいちばん身近な機会です。気になることはメモして持参し、遠慮なく質問してください。
  • かかりつけの小児科 — 健診と健診の間に心配になったときの最初の相談先です。必要に応じて専門機関につないでもらえます。
  • 市町村の子育て相談窓口 — 釧路市・釧路町・鶴居村には、それぞれ保健師などに相談できる子育て支援の窓口があります。
  • Baby Steps の小児リハビリ・発達支援 — 理学療法士がご自宅に伺い、遊びの中でお子さまの動きを評価して、ご家庭での関わり方までお伝えします。診断の有無に関わらずご利用いただけます。

Baby Steps のサービスは医療の代わりではありません。 健診や小児科での相談と並行しながら、 「毎日の生活の中でどう関わればよいか」を具体的にサポートするのが私たちの役割です。 詳しくは小児リハビリ・発達支援のページをご覧ください。

まとめ

  • 育児書や母子手帳の月齢は「約9割の子が通過する時期」の目安。遅れて見えても、その幅の中で育っている子がたくさんいます。
  • 発達のスピードにも順番にも個人差があり、早産のお子さまは修正月齢で考えます。
  • 左右差、強い反り返り、極端な硬さ・柔らかさ、できていた動きの後戻りなどのサインは、早めの相談をおすすめします。
  • ご家庭では、うつぶせ遊び・向き癖の工夫・床遊び・「できかけ」の応援を、遊びとして楽しみながら。
  • ひとりで抱え込まず、健診・かかりつけ医・地域の窓口・専門職を頼ってください。

お子さまの発達の心配は、「考えすぎ」でも「気にしすぎ」でもありません。 毎日いちばん近くで見ている保護者の方の「なんとなく気になる」は、 それ自体が大切な情報です。安心のためにも、どうぞ気軽に専門職を使ってください。

本記事について

本記事は一般的な情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療に代わるものではありません。 お身体の状態について心配なことがある場合は、医療機関・専門機関にご相談ください。 制度に関する記載は執筆時点の情報に基づいており、変更される場合があります。

執筆者 宮田 隼斗

この記事を書いた人

宮田 隼斗代表 / 理学療法士

国家資格を持つ理学療法士。北海道釧路エリア(釧路市・釧路町・鶴居村)で、 お子さまの発達支援から高齢の方の在宅リハビリまで対応する訪問整体 「Baby Steps」を運営。プロフィールを見る

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Baby Steps では、理学療法士が釧路エリア(釧路市・釧路町・鶴居村)のご自宅に伺い、お子さまの発達の気になりごとを評価・サポートしています。「相談するほどのことか分からない」という段階のご連絡も歓迎です。

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